コレコレ

 

 

 

夏はそんなに好きじゃない。

 

春にくっついてきた夏のことを愛おしいと思ったことがこれまでない、一回もない。

 

 

 

 

6.1インチの画面から勝手にうまれたコレはまだ消えないでいて、タチの悪い初恋みたいだと思った。会うときはいつもスマホを介したし、たまにテレビやラジオが私に手を貸してくれてた。ずぶずぶ、ずぶずぶと侵されてる感じがすきで過剰摂取がやめられない。コレが何なのかきょうも分からない。そんな毎日に違和感を覚えたことすら忘れてしまうほど、順応して毎日を暮らしていた。

 

2021年8月17日火曜日、ずっと、追い求めていたコレと、ずっと、ずっと、ずっと、逃げつづけていたコレと、向き合う日が来た。向き合うためには、多少、勇気とか背中を押してくれる存在が必要で、大好きでかわいい友だちとディズニーストアで待ち合わせした。ユニベアシティが10周年なんですと私に同じような説明を同じように頬を赤らめながら話してくれた2人の定員さんはなにしてるかな?30分、1時間、1時間30分、会うのが億劫になるくらい大好きな友だちは繊細かつ雄弁なレースをあしらったワンピースを身に纏っていた。面映ゆくて居心地が悪いこの瞬間を永遠にしたくて、意味もなくシャッターを切った。オムライスとカルボナーラと、固めのパン。ド真ん中の席だったから、飲料を身体にぶち込めたね。どこの百円均一が一番安いんだろう。歩く度に心臓が握り潰される感覚がわかる。コレが近いと感覚的にわかった。瞬間。コレをしっているきょうのためにかわいいをしてきた集団が目の前に広がってからの記憶が無い。マリンメッセ福岡A館の端はスタッフと呼ばれる人達の動きがよく見えた。コンサート会場に足を踏み入れた瞬間の幻想的な世界はこの人たちが作ってる。席についても落ち着かなくて頻脈、お祈りし手で正常値に戻る一連の異常が癖になる。幕が上がる気配を感じた瞬間、喉元を誰かに締められた。声を出せないこの世界は窮屈だけど、ゆっくりと咀嚼する選択肢をくれたのもこの世界だったので好きでいようかな。オープニング映像が終わって一曲目が始まるまでの空白を愛しているから、いざ、立ち会うと四泥萌泥で挙動不審になった。みんなより数秒遅れて認識した刹那、涙を垂れ流すだけの動物になったのがわかった。頬を伝う信仰と愛と希望、きみがだれよりもきみで眩しかったことを忘れないだろう。セットリストは小学生の頃、神だと思ってたドラえもん→しんちゃん→Mステを上書きした。気付けば夏の曲も楽しめていた、きみがきみだったから。きみが私のこと家族とかいうから、それを免罪符にしてきょうもだらしなくきみを好きでいると誓う。きっと死ぬまできみが離れてくれないこと、わたしの人生の誇りだよ。ありがとう、最悪で最強で最高の呪いを、ありがとう、みんなありがとう、さようならできないのにさようならしちゃったね。夏の思い出。みんなの、みんなの浴衣の後ろ姿。さようなら。

 

 

きみの存在に気づいてしまったから やっぱり夏は嫌いで大好きだ。てか、コレって何?